福島市議会議員根本雅昭の、プロフィール・政策・活動報告・議会報告等。

福島市議会令和5年9月定例会議一般質問


生活インフラの維持について

水道の老朽管更新事業について

①人工衛星画像とAI技術を用いた水道管の漏水リスク評価について、これまでの実績を戸別音聴調査との評価の信頼性に関する比較も含めてお伺いいたします。

水道局長: 当該漏水リスクの評価の手法は、本市が全国で初めて業務委託契約を行い採用したものでございます。人工衛星画像で取得した地表面の温度や地盤変動によるストレスなどをAIで解析し、管路が脆弱で漏水リスクが高い範囲を地図データ上で可視化する技術であります。

本市の給水区域全域を100メートル四方に1万4,773メッシュに区分し、そのうち1,420メッシュ、全体の9.6%が高リスクの範囲としてスクリーニングされる結果となりました。

高リスクの範囲は、これまで漏水履歴等の知見により行ってきた戸別音聴調査の範囲内に93.8%分布しているため、当該評価の信頼性は高いと捉えております。

さらに、今年度の戸別音聴調査にて検証し、当該評価にフィードバックすることでスクリーニングの精度向上を図り、効率よく漏水を発見し、早期修繕につなげてまいりたいと考えております。

②本市が今後計画している従来の漏水調査範囲外における戸別音聴調査実施前に、人工衛星画像とAI技術を用いた漏水リスク評価結果を直ちに老朽管更新計画に反映させることで管路更新を迅速化することが考えられますが、見解をお伺いいたします。

水道局長: 管路更新は、耐用年数や重要度などを考慮し、優先順位をもって計画的に進める必要があります。当該漏水リスクの評価により、高リスク範囲をスクリーニングしたことで、更新順位が高い管路の選定が従来より容易になったことから、速やかに更新計画の見直しを行うことで効果的な更新事業の推進につながるものと考えております。

また、従来の調査範囲外で高リスクとなった範囲においては、漏水の可能性が高いと評価されたため、戸別音聴調査による詳細な漏水探索は必要であり、現地調査をしながら早期修繕につなげる考えであります。

災害時に情報収集・分析するための通信手段の確保について

①災害時に停電や回線の断絶等で通信障害が発生した場合においても、情報を収集し分析するための通信網の復旧等による通信手段を確保するための手段について、これまでの本市の取り組みを今後の計画も含めてお伺いいたします。

市長: 災害時において通信手段を確保するためには、停電時の対策と回線が断絶した場合の対策が重要です。

まず、停電対策として、本庁舎に72時間稼働可能な非常用電源を確保するとともに、停電時でも通話可能な災害時優先電話を設けております。

また、有線通信が途絶した場合の対策として、災害の状況に応じて異なる2つのキャリアが選択可能なIPデジタル無線の導入に加え、地上の通信が断絶した場合、衛星に切り替わることで通信手段を確保する県総合情報通信ネットワークシステムにより、情報伝達ルートの多重化を図っております。

消防においては、72時間稼働可能な自家発電設備を各消防署所に設置し、停電や電話回線等の通信障害時においても消防救急デジタル無線の通信確保に努めております。

今後、さらに能登半島地震において災害対応時に有効性が確認された衛星通信を使ったインターネット機器の活用などを検討してまいります。

②他市町村では公共性の高さや市民の防災意識の高まりを背景として、市役所庁舎にD-STARレピータを設置している事例がありますが、本市にもD-STARレピータを設置することについての見解を本市が把握している他市の事例も含めてお伺いいたします。

危機管理監: D─STARレピータの運用、維持管理につきましては、専門知識を有する者が不可欠でありますことから、運用上、市が直営で庁舎に設置することは困難であると考えております。

郡山市や奈良県桜井市などは、地元のアマチュア無線団体からの要請によりまして、通常時はアマチュア無線局として使用し、災害時には情報収集や伝達などに協力するといった災害時の応援協定を締結いたしまして、庁舎にD─STARレピータを設置しております。

また、各市の防災訓練におきましては、情報収集や共有ができる体制の構築を図る取組を行っておりますが、現在のところ、これまで災害時の活動実績はないとのことでございます。

③先月27日に総務省が発表した災害発生による停電や回線の断絶等で通信障害が発生した際に官民連携で通信網の復旧にあたる通信復旧支援士(仮称)について、来年度は北陸・東海・近畿の各総合通信局で通信設備の効率的な復旧に向けた計画が策定され複数の自治体で試験的に訓練や講習等が行われる予定ですが、本市が把握している内容をお伺いいたします。

危機管理監: 能登半島地震におきましては、ただいま議員がご説明いただいたとおり、衛星インターネット機器等の新技術の運用面でありますとか、自治体職員も被災した災害下における通信インフラの復旧対応に課題がございました。

こちらの教訓を踏まえまして、国におきましては、官民連携による激甚災害時の通信確保支援体制の整備に着手をいたしまして、通信設備の復旧講習や訓練の修了者を、仮称でありますが、通信復旧支援士として登録し、被災地に派遣するなどのいわゆる通信分野のDMATに相当する仕組みを複数年で計画的につくっていくことといたしました。

今後、全国を11のブロックに分け、まず令和7年度の計画策定や訓練、研修の結果を検証しながら、3年程度で体制を整える計画でありまして、本市を含む東北地方につきましては、令和9年度に東北総合通信局において計画の策定等が予定されております。

④災害時には、通信版DMATである通信復旧支援士(仮称)らのチームを全国の被災地に派遣し避難所等で通信機器の設置や運用のサポートにあたる体制の構築が目指されていますが、将来的に本市の防災訓練でも通信版DMATによる訓練を行うことについて見解をお伺いいたします。

危機管理監: 今後、国において通信版DMATの仕組みづくりを進めるところであり、来年度試験的に実施が予定されております訓練等を参考に、情報等を収集した上で、必要に応じ対応を考えてまいります。

市民の健康・安全に関わる各種施策について

入浴中の事故防止について

①厚生労働省の令和3年人口動態統計によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4,750人で交通事故死亡者数2,150人のおよそ2倍であり、特に65歳以上の高齢者の死亡事故が毎年11月から4月にかけて多く発生していますが、本市が行っているその予防に向けた啓発内容をお伺いいたします。

健康福祉部長: 本市では、高齢者の入浴関連事故の原因の一つであるヒートショックの予防を呼びかけております。

暖かい部屋から寒い部屋へ移動する際の急激な温度変化によって血圧が上下に大きく変動することで起きるヒートショックについては、市保健師が地域に出向いて行う健康教育や地域包括支援センターが主催する介護予防教室において、その予防法をお知らせしております。

具体的な周知内容といたしましては、入浴前にあらかじめ浴室や脱衣所を暖めておくこと、お湯の温度は41度C以下、湯につかる時間は10分以内を目安とすること、同居の家族がいる場合は入浴前に家族に一声かけることなど、安全に入浴するためのポイントを記載した資料を用いて、分かりやすい説明に努めているところでございます。

②本市消防本部と消防団が行っている住宅用火災警報器の啓発活動の際に、①の予防についても広報することで浴槽内での事故予防の一助となると考えられますが見解をお伺いいたします。

消防長: これまで、ヒートショック防止対策として、温泉施設へのポスター配布や地区だよりへの記事掲載など、注意喚起に取り組んでまいりました。

今後につきましても、住宅用火災警報器の普及啓発活動時を含め、適切な時期を捉えて、関係部局と連携しながら広報に努めてまいります。

③①の予防に向けた啓発動画を作成し、冬季を中心に福島市政テレビや公式YouTubeチャンネル等で配信することも考えられますが本市の見解をお伺いいたします。

健康福祉部長: 入浴中の事故防止の啓発動画は、市で新たに作成せずとも、政府広報オンラインをはじめ、分かりやすい動画が多数公開されております。

市といたしましては、これらを積極的に活用して入浴中の事故防止を周知、啓発してまいります。

今後は、市ホームページに専用ページを設けるほか、SNSなども活用しながら時期、タイミングを見計らった注意喚起に努めてまいります。

住宅断熱性能について

①政府広報オンラインによると入浴時の事故原因の一つに急な温度差による血圧の急激な変化があり、ヨーロッパではその予防の一つとして断熱性能基準が義務化される動きが加速している中、本市内住宅の住宅断熱性能の状況について本市が把握することも重要であると考えますが、見解を現在把握している内容も含めてお伺いいたします。

環境部長: 総務省の住宅・土地統計調査によれば、本市において、住宅の断熱性能向上のために二重以上のサッシまたは複層ガラスの窓を設置している住宅数は、直近の平成30年現在で、住宅総数12万2,920戸に対して4万7,660戸、設置率は38.8%となっております。同調査における全国の設置率は29.0%、福島県の設置率は38.0%であり、東北や北海道の寒冷地域でより高い傾向を示しております。

また、新築住宅では、断熱性能がZEH基準以上と評価された長期優良住宅は、令和5年新設住宅戸数1,605戸に対して326戸であり、20.3%となっております。なお、令和7年4月からは、全ての新築住宅に対し省エネ基準に適合する断熱性能が義務化されることから、断熱性能を備えた住宅の割合は上昇していくものと見込んでおります。

住宅の断熱性能を高めることは、ヒートショック防止や光熱費節減など健康で快適な暮らしや、エネルギー消費量削減にもつながります。また、ZEHやZEB普及による災害時のレジリエンス強化が期待されることから、本市住宅の現状を把握し、住宅の断熱性能をさらに高めていくことは重要であると考えております。

②本市が広報している省エネ改修制度について、概要をお伺いいたします。

環境部長: 本市が広報している国、県の省エネ改修制度は、合わせて5件でございます。

子育て世帯、若者夫婦世帯に対して高い省エネ性能を有する新築住宅の取得費用や住宅の省エネ改修費用を補助する子育てエコホーム事業、既存住宅の省エネ化を促すため断熱窓への改修費用を補助する先進的窓リノベ2024事業、高効率給湯器の導入費用を補助する給湯省エネ2024事業、既存住宅の高性能建材などを用いた断熱改修費用を補助する既存住宅における断熱リフォーム支援事業、以上4件の国による事業のほか、県が戸建て住宅の省エネ診断、省エネ改修費用を補助する福島県省エネルギー住宅改修補助事業について広報に取り組んでいるところであります。

③本市内住宅における断熱性能の向上に向け、市内住宅の現状把握や省エネ改修制度の一層の広報等の取り組みを行っていくべきと考えますが、本市の見解を今後計画している取り組みも含めてお伺いいたします。

環境部長: 住宅の断熱性能を高めることは、健康で快適な暮らしやエネルギー消費量の削減等につながることから、重要であると考えております。

本市の取組につきましては、国の住宅省エネ2024キャンペーンや県の補助制度を取りまとめ、市ホームページや環境ポータルサイトふくエコに掲出し、周知、啓発を行っているところであります。また、ターゲット層などを意識したSNSによる広報や、民間の情報誌やウェブサイトを通じて情報発信するなど、補助制度の積極的な活用を促しているところであります。

また、市の環境イベントにおいて、遮熱、断熱効果を体感する機会を提供したほか、温室効果ガスの削減や家計負担を軽減する視点に加え、ヒートショック予防など健康の視点、断熱改修などのよりよい住環境の視点により、幅広い層に対し情報提供するなど、庁内連携して広報や啓発活動に取り組んでまいります。

動物愛護について

マイクロチップの装着について

①マイクロチップが装着されていない犬や猫について、マイクロチップの装着率向上に向けた本市の取り組みをお伺いいたします。

健康福祉部長: マイクロチップ装着の最大のメリットは、災害や事件、事故等の様々な理由によって犬や猫が飼い主と離れ離れになった際に、チップに書き込まれた情報によって早期に飼い主を特定できることにあります。

そのため、譲渡会やペットに関わる各種イベント時、畜犬登録などの機会を捉えて、マイクロチップ装着の必要性や有効性の周知、啓発を行っております。

また、市ホームページには、犬、猫の飼い主へマイクロチップ装着を促す情報を掲載しているところであります。

②犬や猫のマイクロチップ登録情報の変更について、情報変更が生じた際に情報変更するようYouTubeで公開している譲渡犬・猫紹介情報の前後や福島市政テレビ等で特に異動が多い時期に配信することも考えられますが、本市の見解をお伺いいたします。

健康福祉部長: 現在、本市では、市ホームページにおいて、犬や猫の飼い主に向けた情報として、マイクロチップ登録情報に変更が生じた場合の変更手続きを案内しております。

また、譲渡動物を新たな飼い主に引き渡す際には、市獣医師がマイクロチップ装着のメリットや登録情報変更時の手続きについて説明し、当該制度の必要性、重要性への理解を促しております。

現時点では、テレビ市政だよりや公式ユーチューブチャンネルを活用した映像による周知、啓発を行う予定はございませんけれども、市政番組制作の年次計画を策定する際に検討してまいります。

今後は、住民移動の繁忙期に合わせて市窓口に広報ポスターを掲示し、犬、猫の登録情報に変更が生じた際には変更手続きを行うよう周知を図ります。

また、個別に発送する狂犬病予防注射の案内はがきを活用した広報にも取り組み、飼い主に対するマイクロチップ装着制度の周知、啓発を強化してまいります。

譲渡動物について

①本市における譲渡動物の譲渡率の向上に向けたこれまでの取り組みをお伺いいたします。

健康福祉部長: 本市では、譲渡可能な保護動物が発生した場合、市ホームページに保護動物の写真や個体情報を掲載し、譲渡先となる新たな飼い主を募集しております。

また、SNSを活用した情報発信に加えて、譲渡動物写真展やふくしま環境フェスタなどの市主催イベント時のパネル展示や獣医師による講座等の取組を通して、保護動物への理解と譲渡の促進を図っております。

保護動物は、保護前の飼育環境の影響によって人なれしていないことが多いため、譲渡にあたっては、市の獣医師によって十分に人なれした状態にしてから、新たな飼い主への譲渡につなげているところでございます。

②本市譲渡動物情報の一部はYouTubeで公開されていますが、それらを本市ウェブサイトの譲渡動物情報と相互にリンクしたりデータベース化し分類したりする等、より分かりやすく管理しやすい情報提供を行うことも考えられますが見解をお伺いいたします。

健康福祉部長: 現在、本市では、市ホームページをメインの情報媒体として、譲渡動物の個体情報を提供しております。

譲渡動物のうち、特に動きの速い猫については、動画よりも静止画のほうが閲覧しやすいという市民からの意見も踏まえまして、ウェブサイトには複数の写真のみを掲載しているところでございます。

譲渡希望がなく、施設での飼育期間が長くなった犬、猫や、対象動物が高齢の場合には、市公式ユーチューブのサブチャンネル、ルックラック上で譲渡動物の様子を撮影したショート動画を配信しております。

動画配信は、譲渡動物の情報露出度を高めて閲覧される機会を増やすために限定的に行っているものでございますけれども、今後は、情報を閲覧する側からのご意見も踏まえまして改善を図るなど、譲渡動物のより分かりやすい情報発信と情報管理に努めてまいります。

あづま総合運動公園の野良猫への給水について

①野良猫への給水に使用した容器が放置されている事例がありますが、本市の対応をお伺いいたします。

健康福祉部長: あづま総合運動公園にて猫保護活動を行っている有志グループの方々に対し、給水後の容器回収について指導を行うとともに、公園管理者にも容器が放置された状態への対応を求めてまいります。

ICTを活用した各種施策について

地域経済や地域課題の分析評価について

①本市におけるRESAS(地域経済分析システム)のこれまでの活用状況を、APIの活用実績も含めてお伺いいたします。

政策調整部長: RESASにつきましては、サービス供用開始初期には、職員の統計データ活用技術研修や、広域連携推進事業の一環として合同研修などを行い、職員の政策形成能力向上につなげてまいりました。また、令和4年3月に策定いたしましたふくしま田園中枢都市圏ビジョンの作成の際にも活用したところであります。

なお、APIの活用実績はございません。EBPMの考えが浸透し、各種の統計データやオープンデータなど活用を分析しながら、施策形成や事業立案を進めることが通常の取組として浸透してきております。RESASが提供するデータ等については、他の統計データやオープンデータと同様に、客観的な分析や検証などに活用してまいります。

②V-RESASの公開が終了しRAIDA(デジタル田園都市国家構想データ分析評価プラットフォーム)に移行しましたが、本市におけるRAIDAの活用計画があればお伺いいたします。

政策調整部長: 本市でのRAIDAの具体的な活用計画はございませんが、類似団体、隣接地域などとの比較評価などを可視化しながら検索、閲覧することが可能であり、EBPMの一環として、本市のデジタル活用施策の立案や、地域課題解決への効果的なデジタル実装の参考とすることは可能であると認識しております。

③デジタル田園都市国家構想実現に向けた地域幸福度(Well-Being)指標の活用実績を活用計画も含めてお伺いいたします。

政策調整部長: 地域幸福度指標につきましては、アンケートによる主観指標と、オープンデータによる客観指標を市民の幸福感と暮らしやすさとして数値化、可視化したものであり、地域の特徴を捉え、市民の幸福感向上につながる施策の検討や進捗の検証などに活用する指標であると認識しております。

自治体ごとの測定データを指標として利用できる反面、公開されている本市の主観指標においては、アンケート調査結果の標本数が少なく、年齢の分布などにも偏りがあるなど、課題もあることから、現時点での活用の見込みは持ってございません。

なお、デジタルを活用した地方創生の取組については、総合計画実行プランにおける各施策の進捗管理として、施策ごとに個別に設定した各種統計指標や市民アンケート指標などを用いて毎年度検証を行っているところであります。

本市の予算書や決算書等の行政情報について

①本市がウェブサイトで公開している予算書や決算書はPDFであり、各事業等の予算額と決算額の比やその行政評価が一元化されていませんが、それらを分かりやすく市民に知らせるために行ってきたこれまでの取り組みをお伺いいたします。

財務部長: 当初予算の概要や主な補正予算については、議会ごとに市長記者会見を開催し、動画による配信を行うとともに、その資料を市ホームページに掲載し、主な施策や予算を市民の皆さんへ分かりやすくお伝えするように努めています。決算については、決算書や成果報告書等により報告し、行政評価については、様々な事業の組合せにより目指すべきまちの実現を図る新ステージ実行プランにおいて各年度、進捗管理や評価、検証を行ってきたところであります。

また、子供向けにも分かりやすく決算の内容をまとめたものを市ホームページに掲載をしております。

あわせて、市政だよりにおいても、年3回、当初予算、決算、予算の執行状況を広くお知らせをしております。

②行政情報を統合データベース化した上で各事業等の予算額と決算額の比やその行政評価を一元化し、シンプルで見やすく分かりやすい「デジタル予算書」を作成している他市町村の事例がありますが、本市でもこの様な取り組みを行うことについての見解を、本市が把握している他市の事例も含めてお伺いいたします。

財務部長: 新潟県柏崎市や大阪府豊中市、長野県塩尻市でデジタル予算書の取組が行われていることは承知しております。ただ、費用対効果などで検証できていない部分も多いというふうに思っておりまして、現時点では、本市において同様の取組を行うことは考えてはいない段階でございます。今後も引き続き、予算や決算の分かりやすい説明や周知に努めてまいりたいと考えてございます。

新潟県柏崎市が先行事例だというふうな情報がございましたので、柏崎市のホームページで確認をさせていただきました。デジタル予算書、新潟県柏崎市、非常によくできている部分はあると感じました。私どもといたしましては、市民の皆さんに分かりやすく、市の政策として政策的に位置づけた形でまとめたものを今までお知らせをしている状況になっているのですが、柏崎市はデータベース化されておりまして、1件1件調べられるような、どちらかというと学術研究であったり、我々のようなある程度知識のある者が調査したりするのに非常に適しているようなシステムと見えましたので、今後研究をしていきたいなとは感じたところでございます。

システムの内製化について

①本市におけるシステムの内製化について、これまでの実績を効果も含めてお伺いいたします。

政策調整部長: システムの内製化は平成30年度から取り組んでおり、様々な業務改善を行ってまいりましたが、令和5年度からはさらなる業務改革とDX推進を図るため、デジタル改革室に専任の職員を配置し、組織的、全庁的に進めてきているところであります。

専任職員を配置いたしました令和5年度からになりますけれども、令和5年4月から令和6年8月末までの期間に50の内製システムを構築したところであります。

効果といたしましては、年間5,998時間の事務時間を削減しております。事務経費といたしましては、システム構築費用の削減効果として524万円、システム保守費用の削減効果として年間257万円、事務時間の削減による人件費の削減効果として年間1,500万円、合計2,281万円の削減効果があったところでございます。

なお、内製システムを他自治体に横展開した事例や、民間企業と連携して内製システムを製品化し、販売する自治体ビジネスに発展させた事例もあり、他自治体DXにも貢献しているところであります。

②システムの内製化を円滑に進めるためには人材育成が重要であると考えますが、本市のこれまでの取り組みを今後の計画も含めてお伺いいたします。

政策調整部長: システムの内製化を進めるには職員の育成が重要であり、属人化させない継続的な業務とするためにも、システムの内製化を担える人材の育成を行いながら進める必要があるものと考えております。

そのため、情報企画課内にて内製化の検討を行う際は、情報枠で採用した職員を含め検討することで、デジタル人材の育成を行っております。

また、各所属から選出されておりますDX推進員のスキルアップも重要であることから、令和5年度にはRPA研修を実施し、令和6年度にはローコードデータベースの研修を計画しております。

DX推進員が受講した研修については動画を作成し、全職員が動画研修を受講できる環境も整えております。

今後につきましても、DXスキルの底上げに必要なカリキュラムを取り入れた研修計画を立案し、DX人材の育成に取り組んでまいります。

③内製化したシステムについて、情報セキュリティの確保・確認方法をお伺いいたします。

政策調整部長: システムの内製化にあたっては、情報企画課にて業務内容に適したツールの選択や使用する職員の範囲などをあらかじめ検討し、取り組んでおります。

また、システム構築の際には、データを取り扱う者の権限や改ざん防止などをテストなども実施しながら確認しながら、閲覧制限や動作制限を設け、セキュリティーの基本である完全性、機密性、可用性の確保に努めているところであります。

④情報セキュリティの確保に向け情報処理安全確保支援士等の情報セキュリティに関するスペシャリストを一層育成すべきですが、本市の見解をその職員数も含めてお伺いいたします。

政策調整部長: 情報処理技術者試験に合格している職員は令和6年8月現在で33名おり、そのうち情報処理安全確保支援士の資格を持つ職員は2名です。

今般の地方自治法の改正に伴い、地方公共団体はサイバーセキュリティーの確保の方針を定め、必要な措置を講ずることとされていることなどを踏まえますと、情報セキュリティーの確保はこれまで以上に重要な課題と捉えております。

今後におきましても、令和4年度より実施をしておりますIT人材の確保を目的とした情報枠の職員採用をはじめ、職員の資格取得費用の一部助成制度を活用し、さらなる情報処理安全確保支援士などの人材確保、育成に努めてまいります。

⑤ノーコード・ローコードツールを活用することでより効率的な内製化に繋がると考えられますが、本市の見解を今後の活用計画も含めてお伺いいたします。

政策調整部長: 昨年度から業務内容に応じてローコードデータベースを使用したシステムの内製化を進めており、データベースやプログラミングの知識がなくても構築できることから、各所属においても活用されているところであります。

現在は様々なノーコード、ローコードツールが販売されていることから、これらについての情報収集を行っており、優れたサービスがあれば導入を検討してまいります。

デジタル人材バンクによるITを活用した戦略策定について

①本市内の企業・団体や市民に対し、それぞれの特性を踏まえた上でITを活用した各種戦略の実現に向けた計画策定に寄与するため、デジタル人材バンク登録者による個別相談会を開催することも考えられますが、見解をお伺いいたします。

政策調整部長: デジタル人材バンク事業は、市内中小企業や団体などが抱える課題に合った人材を登録いただいた多彩な人材の中から市がマッチングしております。

さらなる活用を図るため、商工会議所の会合などで、相談可能な内容や対応可能な登録人材、実際のマッチング事例を具体的に紹介しているところであります。

現時点では相談会開催の計画はございませんが、ビジネス関連のイベント実施時に試行的に開催するなど、まずはニーズ等の把握、検討を行ってまいります。

日本DX大賞2024について

①日本DX大賞2024表彰式において、本市は行政機関・公的機関部門で優秀賞を受賞しましたが、本市が把握している要因をお伺いいたします。

政策調整部長: 本市は、これまで市民全体がデジタル化の恩恵を享受できるよう、各種講座の開催やデジタルクラブの立ち上げ、また全国的にも珍しいシルバー人材センターICT班の活躍など、高齢者同士が学び合う取組により、高齢者にも優しいデジタル化を推進してまいりました。

今般の日本DX大賞2024における優秀賞の受賞は、このような市全体のデジタル化の底上げを図る取組に加え、先ほども答弁させていただきました内製化の取組など、本市独自の取組が評価いただけたものと認識をしております。

②日本DX大賞行政機関・公的機関部門の大賞を目指すため、今後の抱負をお伺いいたします。

市長: 今回は、せっかく推挙いただきましたので、首長として初めてプレゼンを行いましたが、本市独自の地域全体のデジタル化の底上げと内製化を通じた業務改革が評価されて、日本DX大賞2024優秀賞を受賞したことは大変うれしく思っておりますし、根本議員には我々の背中をしきりに押していただいたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。

一方で、我が国は今デジタルからDX、すなわちデジタルを通じた変革の時代へと数段階上の局面に上がってきつつあります。地方自治体も国全体で標準システムへの移行とガバメントクラウドへの接続がなされ、デジタル基盤はしっかりした共通のものとして整備されてまいります。今後は、いかに各自治体が創意工夫してデジタルを活用したサービスの向上や地域の活性化、そして社会的コストの縮減を図っていくかが重要になるものと考えます。

今後も高齢者等のリテラシーの向上により裾野を広げ、内製化による業務改革を進めながら、これまで以上に官民のデジタル人材の育成、確保に努め、市民生活を豊かに、そして経済活動を活発にする実効ある取組を重視して取り組んでまいります。

すなわち、医療、介護、健康づくりが連携した新たな取組の推進、AIや自動運転なども活用した公共交通サービス、地域通貨的なものを導入した地域経済の活性化、スマート農業の推進、スーパーアプリによる便利な行政サービスの提供などが取り組むべき方向性であろうと考えます。

午前中、今月6日から開始したマイナンバーカードを活用した救急搬送の実証事業で、昨日までに既に4件既往歴を確認して円滑な救急医療につながったことを紹介いたしましたが、こうした取組はさらに推進する必要があると強く感じます。

また、DXの推進に際し、現在進めている罹災証明システムの共同開発のように、公民こねくとを活用して事業者との連携を進め、デジタル事業者が集まってくるようなまちを目指します。

このようなDXの取組の結果として日本DX大賞をいただけたなら望外の喜びであります。

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